ここでは、車検切れの車の継続検査に関して押さえておきたいポイントをご紹介しています。
車検には「継続検査」と「新規検査」の2種類がありますが、車検切れの車が受ける車検は継続検査です。
また、車検切れであるかどうかにかかわらず、車の所有者には法定点検(12か月点検、24か月点検)も義務付けられています。
安全かつ合法的に車を利用するため、法令にのっとって正しく検査を受けるようにしましょう。
目次
車検切れの車は「継続検査」を受ける
車検には「継続検査」と「新規検査」の2種類があります。
継続検査とは車検の有効期間満了に伴い、継続して受ける車検のことです。新規検査とは、新車や未登録者が受ける車検を言います。
車検切れの車を車検に出す際、中には継続検査と新規検査のどちらを受けるべきか迷う方もいるようですが、車検切れの車は継続検査を受けることになります。
車検切れの車であっても、運輸支局での車の登録が抹消されるわけではありません。登録が維持されている以上は、新規検査ではなく継続検査の対象となります。
車検切れの車が継続検査を受ける時の費用
車検切れの車が継続検査を受けるためには、車の移動代や法定費用、点検・整備に掛かる費用が発生します。
これらのうち、車検切れという理由で余分に掛かる費用は車の移動代です。
車検切れの継続検査に掛かる費用について確認してみましょう。
車の移動代
車検切れの車は公道を走行できないため、自走以外の方法で車を車検工場まで運ばなければなりません。
車検切れの車を車検工場まで運ぶ主な方法が、「仮ナンバー」「積載車」「車検引き取りサービス」の3種類です。
仮ナンバーとは、一時的に公道を自走できる許可を得たナンバープレートのことです。
手続きや車の移動に手間や時間が掛かるものの、申請費用は約750円ですので、コストを抑えたい方には適しています。
積載車とは、車を積んで運べる車のことです。手間や時間はほとんど掛かりませんが、一般的には業者に車とドライバーを手配するため、やや高額なコストが掛かります。
料金の目安は、基本料金が10,000~15,000円で、走行距離に応じた料金が加算されます。
車検引き取りサービスとは、一部の車検工場で行っている「引き取り+車検+納車」のセットプランのことです。
その車検工場で車検を受ければ、車検切れの車の引き取りや納車を原則無料で行ってくれるサービスです。
車の移動に関する手間も費用も掛かりませんが、近隣にそのようなサービスを提供している車検工場があるかどうかがポイントです。
法定費用
法定費用とは、車検を受ける際に掛かる税金や自賠責保険の総称です。
車のタイプによって法定費用の額は異なりますが、同じタイプの車であれば、どこで車検を受けても費用は同額となります。
中型自動車(~1.5t)の場合、おおむね50,000円が法定費用の目安です。
車の点検・整備に掛かる費用
車検に合格するためには、車のコンディションを整えておかなければなりません。
そのためには、車検前に車の状態を点検し、必要に応じて整備や修理、パーツ交換などをする必要があります。
これらの点検や整備などにも、当然ながら費用が掛かります。
費用の額は業者によって大きく異なりますが、仮に車が中型自動車(~1.5t)であれば、おおむね20,000~45,000円が相場となるでしょう。
なお、どの業者で点検・整備を受けるかにかかわらず、一般的には新しい車よりも古い車のほうが費用は高くなります。
車検とは異なる法定点検について
車の所有者は、車検とは別で法定点検を受けなければなりません。
法定点検とは、道路運送車両法で定められた車の点検整備に関する義務規定です。
車の種類によって法定点検を受けるタイミングが異なりますが、自家用車(普通車・軽自動車)の場合には、12か月点検(1年点検)と24か月点検(2年点検)の2種類があります。
以下、法定点検のポイントを確認しておきましょう。
法定点検と車検はそもそも目的が異なる
車検の目的は、車が保安基準に適合しているかどうかを検査することです。
車の故障箇所を検査したり、必要な交換部品を特定したりするための検査ではありません。
また、法定点検の目的は車が安全に公道を走れるよう点検・整備することです。
法定点検の結果、修理や部品交換が必要と判断されることもあります。
24か月点検のタイミングが車検のタイミングと重なることから、多くの場合、24か月点検と車検を同時に受ける形となります。
中には、車検と同時に24か月点検が行われていることを知らない方もいるでしょう。
一方で12か月点検は自主的に計画して受ける形となるため、ともすると忘れがちになります。
12か月点検も24か月点検も法律で定められた義務ですので、忘れないように注意しましょう。
法定点検には明確な期限がない
車検には明確な期限が設定されていますが、法定点検には明確な期限がありません。
一般的には、前回受けた法定点検から12か月後を目途に、前後1か月の間で受けるのが理想的とされています。
法定点検は義務であるものの、車検ほどの強制力を感じていない人も少なくありません。そのため、次の法定点検を受ける時期が曖昧になっている人も少なくないようです。
いつ法定点検を受けるべきかを明確にするため、検査標章(車検ステッカー)にあわせ、法定点検の期限日が記載されているステッカーもきちんと確認しておくようにしましょう。
法定点検は自分で行うこともできる
法定点検は、自分で行うこともできます。ただし、車の専門的な知識のない人が自分で法定点検を行うことは実質的に不可能でしょう。
なお、自分で法定点検を行った場合には、点検整備済みのステッカーを貼れません(貼らなくても違法ではありません)。
法定点検の依頼先
法定点検は、ディーラーやガソリンスタンド、車検整備工場、カー用品店などで受けられます(法定点検を行っていない店舗もありますのでご注意ください)。
法定点検の項目は同じですので、どこで受けても点検結果に大きな違いはありません。ただし、点検に要する時間や整備・部品交換代などの料金は、依頼先によって異なります。
継続検査を受ける時に必要となる主な書類
継続検査に必要となる主な書類について、車検業者に依頼する通常の車検の場合と、自分で運輸支局へ行って受けるユーザー車検の場合に分けて確認しておきましょう。
※以下は普通自動車の継続検査に必要な書類となります。軽自動車の継続検査の場合、必要書類が異なる点にご注意ください。
車検業者の車検で必要となる主な書類
自動車検査証(車検証)
自動車検査証(車検証)とは、前回車検を受けた際に交付された重要書類のひとつです。
車を運転する際、必ず携行していなければならない書類ですので、車の中のどこかに保管してあるはずです。
一般的には、助手席の前にあるグローブボックスに保管されています。
自賠責保険証書
自賠責保険とは、交通事故における被害者救済を目的とした保険です。自動車を所有する人は、必ず加入しなければなりません。
自動車検査証と同様に、車を運転する際には自賠責保険証書を携行する義務があります。
自動車税納付書
平成27年4月から自動車税の納税確認が電子化されたため、以後の車検においては、原則として自動車税納付書の提出が省略できることとなりました(軽自動車は省略できません)。
ただし、車検工場によっては納税証明書の提出を求める場合がありますので、車検を受ける前に確認しておきましょう。
ユーザー車検で必要となる主な書類
ユーザー車検を受ける場合には、上記の書類の他に、次の書類を準備する必要があります。
継続検査申請書
継続検査申請書とは、自動車検査証を発行する際に使う専用用紙です。
運輸支局の窓口で取得するか、または国土交通省の公式HPからダウンロードします。
自動車検査票
検査の各項目に関して合否を記載するための書類です。運輸支局の窓口で取得します。
自動車検査証(車検証)と名称が似ているため、混同しないようにしましょう。
自動車重量税納付書
ユーザー車検を受ける際に自動車重量税を納付しますが、納付の際には印紙を添付した自動車重量税納付書を提出する必要があります。
自動車重量税納付書は、運輸支局の窓口で取得できます。
法定点検の記録簿
法定点検(12か月点検・24か月点検)を受けた証明となる書類です。整備振興会で取得可能です。
法定点検を受けていなくてもユーザー車検は受けられますが、もし受けていない場合には、車検後に法定点検を受けるようにしましょう。
自賠責保険証書
車検業者で車検を受ける場合には、業者が自賠責加入手続きや保険証書の交付をしてくれますが、ユーザー車検の場合には自分で加入手続きをして保険会社から保険証書を取得しなければなりません。
【参考】ユーザー車検について
ユーザー車検とは、自分で運輸支局に車を持ち込んで受ける車検を言います。
車検工場に車検を依頼した場合に比べ、点検・整備費用が掛からず割安で車検を通せることから、昨今はユーザー車検が徐々に注目されるようになりました。
車検切れの車でもユーザー車検を受けられますが、車検切れの状態では公道を走行できないため、運輸支局まで車を運ぶための手段を考える必要があります。
【まとめ】車検切れに気づいたら速やかに車検工場などへ相談を
改めて当記事のポイントをおさらいしておきましょう。
- 車検には継続検査と新規検査の2種類がある
- 車検切れの車は継続検査を受ける
- 車検切れの車を車検工場へ移動させるための費用が掛かる
- 車検とは別で法定点検も義務付けられている
- 車検切れの車でもユーザー車検を受けられる
車検切れする前に車検へ出すことが原則ですが、もし車検切れを迎えてしまった場合には、速やかに車検工場等へ相談するようにしましょう。
くれぐれも車検切れの車で公道を自走して車検工場へ行かないようご注意ください。
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