車検切れの車で公道を走ることは法律で禁止されています。
また、車検切れの車は同時に自賠責保険も切れていることもありますが、自賠責保険切れの車で公道を走ることも法律で禁止されています。
もし、それぞれの法律に違反した場合、行政処分のほかにも刑事処分が科されることとなり、自分だけではなく家族も不幸にします。
「車検切れ・自賠責保険切れの車でもバレないだろう」という軽い気持ちで運転することのないようにしましょう。
目次
車検切れ自体は法律的に問題なし
大前提となりますが、車の車検が切れること自体は、何ら法律違反ではありません。
車検が切れた車を車庫に保管していることや、車検が切れた車で私有地などを走る分については、誰からもおとがめを受けることはありません。
車検切れの車が法律的に問題となるのは、その車で公道を走った場合です。
道路運送車両法という法律では、車の定期的な点検を義務付けています。
定期的な点検を行って安全性を担保しなければ、公道は無差別的に危険な場所となる可能性があるからです。
公道を走行する可能性がある車を所有している方は、必ず車検が有効な状態で車を運転しましょう。
職権抹消に要注意
車検切れの車でも、運輸支局などで車の登録を抹消しなければ自動車税が掛かり続けることになります。
車検切れで乗れなくなった車の税金を払い続けることはナンセンスですので、速やかに車検を通して車に乗れる状態とするか、または車の登録を抹消して税金を止めるか、どちらかを選ぶべきでしょう。
なお、「車検切れの車に税金を払いたくない」として、もし5年以上にわたり自動車税を滞納していた場合、「職権抹消」という手続きを取られている可能性があります。
職権抹消とは、税務署の判断で運輸支局での車の登録を抹消する手続きです。
車検切れに伴い、長期間にわたり自動車税を納めていない方は、運輸支局に連絡をして職権抹消されていないかどうかを確認したほうが良いかもしれません。
車検切れで公道を走ると道路運送車両法違反となる
車検切れの車で公道を走った場合、道路運送車両法の無車検車運行に問われ、行政処分と刑事処分の両方を科される形になります。
具体的な罰則内容、および車検が必要な車の範囲について確認しておきましょう。
車検切れの車で公道を走った時の罰則
車検切れの車で公道を走った場合、次のような行政処分・刑事処分を科されることになります。
行政処分
- 違反点数6点(前歴がない場合)
- 免停日数30日間(前歴がない場合)
刑事処分
- 6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金
行政処分について、前歴がない場合には免停日数が30日となりますが、前歴が1回ある場合には免停日数が90日となります。
また、前歴が2回ある場合には一発で免許取り消しになります。
なお、違反点数については違反者講習を受講した後や免停明けに点数がリセットされるものの、前歴については一定期間残ることも覚えておきましょう。
車検が必要な車の範囲
無車検車とは、道路運送車両法で定められた車両のうち、新規検査または継続検査を義務付けられている自動車を言います。
一般的に自動車と聞くと四輪車をイメージしますが、排気量が250cc以上であれば二輪車も車検が必要な自動車に含まれます。
なお、小型特殊自動車やミニカーは車検が必要ありません。
自賠責保険切れで公道を走ると自動車損害賠償保障法違反となる
車検切れの車に関連し、自賠責保険切れの車についても確認しておきましょう。
自賠責保険切れの車で公道を走った時の罰則
自賠責保険切れの車で公道を走った場合、自動車損害賠償保障法の無保険車運行に問われ、車検切れの場合と同様に行政処分と刑事処分を科される形となります。
行政処分
- 違反点数6点(前歴がない場合)
- 免停日数30日間(前歴がない場合)
刑事処分
- 1年以下の懲役、または50万円以下の罰金
自賠責保険切れにおける罰則で注目すべき点は、刑事処分の内容です。
車検切れの場合は「6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金」でしたが、自賠責保険切れの場合は、より罰則が厳しく「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」になります。
自賠責保険の未加入が、いかに大きな問題であるかを示す罰則内容です。
罰則を科される無保険車の範囲
無保険車とは、「自賠責保険」に加入していない車と「任意保険(自動車保険)」に加入していない車の2種類を指すことがあります。
これらのうち、公道を走った際に罰則を科されるのは自賠責保険に加入していない車のみです。任意保険に未加入の状態で公道を走ったとしても、特に罰則を科されることはありません。
ただし自賠責保険で補償される範囲は、あくまでも事故の相手側の損害です。事故で自分側に損害が生じたとしても、自賠責保険でその損害が補償されることはありません。
また、自賠責保険には補償額に上限があるため、その上限額を超える損害賠償が確定した場合、自分で超過分を用意する必要があります。
自分側に生じた損害や自賠責保険を超える損害賠償額を補償してもらうためには、任意保険(自動車保険)に加入しておくことが望ましいでしょう。
道路運送車両法違反と自動車損害賠償保障法違反が重なることもある
車検切れの車を調べてみると、自賠責保険も同時に切れている例が多く見られます。
その理由は、車検を受ける際、次の車検時期までと同じ期間で自賠責保険を契約する例が多いからです。
例えば次の車検が2年後にやってくると分かっている場合には、車検を受ける際、自賠責保険も2年契約する例が多く見られている、ということです。
実際のところは車検満了月の1か月後で自賠責保険が満了となるよう契約する例が多いのですが、両者には1か月しかタイムラグがありません。
そのため、車検切れに気づいた段階で、すでに自賠責保険も切れていることがよくあります。
ご説明した通り、車検切れの車で公道を走った場合には重い罰則があります。また、自賠責保険切れの車で公道を走った場合にはさらに重い罰則があります。
では、車検切れと自賠責保険切れを同時に起こしている車で公道を走った場合、どのような罰則が科されるのでしょうか?
車検切れ及び自賠責保険切れの車で公道を走った時の罰則
車検と自賠責が同時に切れている車で公道を走った場合、道路運送車両法と自動車損害賠償保障法の両方に抵触し、次のような行政処分・刑事処分を科されることになります。
行政処分
- 違反点数6点(前歴がない場合)
- 免停日数90日(前歴がない場合)
刑事処分
- 1年6ヵ月以下の懲役、または80万円以下の罰金
道路交通法施行令によると、2つ以上の違反を犯した場合の行政処分について、最も重い処分を科されることになります。
違反点数については車検切れの場合も自賠責保険切れの場合も「6点」ですので、そのままとなります。
一方で免停日数については、より重い自賠責保険の規定が適用されて「90日」となります(いずれも前歴がない場合)。
また、刑事処分については、刑法併合罪47条により、最も重い罰則の1.5倍を科されることになります。
そのため、車検切れよりも重い自賠責保険切れの罰則が適用されて「1年6ヵ月以下の懲役、または80万円以下の罰金」となります。
無車検車・無保険車運行の再犯者は実刑になる可能性がある
車検切れや自賠責保険切れの車で公道を走った場合、刑事処分として懲役となる可能性もありますが、初犯の場合には略式裁判と罰金刑で済む例が大半です。
ただし、無車検車・無保険車運行の再犯者の場合には、実刑判決で刑務所に収容される可能性があります。
また、無車検車・無保険車で公道を走行中に人身事故を起こした場合には、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪が適用されて非常に重い実刑を科される可能性もあります。
そもそも車検切れはバレるのか?
車検切れに関連する法律上の罰則がいかに厳しくても、「そもそも車検切れは簡単にバレないのでは?」と思っている方がいるかもしれません。
結論から言うと、車検切れの車で公道を走ると基本的にバレてしまいます。
車検切れがバレる主な理由を見ておきましょう。
ナンバー読み取り装置「Nシステム」でバレる
国土交通省では、全国のあらゆる場所にナンバー読み取り装置「Nシステム」を設置中です。
2023年時点で数千箇所に設置されているとも言われますが、その数は定かでありません。
このNシステムで検知された車のナンバーは、瞬時にMOTAS(車の登録情報を集約したシステム)に送られて車検状況の照合にかけられます。
照合の結果、無車検車であることが判明した場合、車の走行ルートの延長上で待ち受けている警察官から呼び止められ、車検状況を確認されることになります。
フロントガラスの車検ステッカーでバレる
フロントガラスには、車検の有効年月が記載されたステッカー(検査標章)が貼られています。このステッカーを見れば、素人でも車検切れであるかどうかを判断できます。
現役警察官はもちろんのこと、警察OBやOG、公務員、車関係の仕事をしている方などであれば、車検切れのステッカーを見つけて黙っているわけにはいかないでしょう。
車検工場やガソリンスタンドのスタッフから通報されてバレる
国土交通省では、車検工場やガソリンスタンド、カー用品店などに協力を仰ぎ、車検切れや自賠責保険切れの車が来店した場合には通報するよう促しています。
もし発見しても見て見ぬフリをした場合、お店側も犯人隠匿を問われる可能性があるため、たとえ自社のお客様とは言え通報せざるを得ないでしょう。
交通違反や車の故障をきっかけにバレる
交通違反や交通事故で警察が車両を確認する際、無線でナンバーを伝えて車検状況も確認しているため、もし車検切れの場合にはすぐにバレます。
また、車の故障で修理工場に運んだ場合も、その車が車検切れであれば工場から警察へ通報されて簡単にバレます。
車検切れの車で法律違反を犯さないためには
車検切れで法律違反を問われないようにするためには、再車検を受けるか廃車にするかしか方法がありません。
いずれの方法でも車を別の場所へ移動させる必要がありますが、車検切れの状態で公道を走れないことは繰り返し説明している通りです。
では、どのような方法で車検切れの車を車検場、または解体工場へ移送すれば良いのでしょうか?
主な方法として3つを確認しておきましょう。
仮ナンバーを取得して自走で車を移動させる
市区町村の窓口で仮ナンバーを取得すれば、車検切れの車でも一時的に公道を走ることが許されます。
ただし、仮ナンバーの取得には自賠責保険証の原本が必要となるため、自賠責保険も切れている場合には再加入しなければなりません。
また、仮ナンバーでは申請したルート以外を走行できない点にも注意する必要があります。
積載車を手配して車を移動させる
自分で積載車を手配し、車検場や解体工場まで運んでもらう方法もあります。無難な方法のひとつですが、相応の料金が掛かることは理解しておかなければなりません。
なお、車検切れの車を移送する場合はレッカー車が使えません(車のタイヤが公道に触れるため)。手配する場合には、必ず積載車を依頼しましょう。
車引き取りサービスがある車検工場に再車検を依頼する
車検工場の中には、車検切れの車を積載車で無料引き取りしてくれるサービスを用意しているところもあります。
もちろん、依頼した車検工場で再車検を受けることが条件となりますが、費用や手間を考慮すれば、賢い選択肢になるのではないでしょうか。
車検切れの車は安全性能が低下している恐れがある
車検切れの車は、単に「手続き上の期限が切れた車」ではありません。「車の安全性能が低下している恐れのある車」であることも、十分に理解しておく必要があります。
安全性能が低下している恐れのある車で公道を走行すれば、思わぬ大事故にもつながりかねません。
ドライバーは公道をお借りしている立場、という謙虚な姿勢を持ち、車検切れのない安全なドライビングを心がけましょう。
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面倒な仮ナンバーの手配などもお客様にしていただく必要はありません。
万一、故障などで自走できないお車の場合には、積載車(有料)で引き取りに伺います。
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