車検切れの車の再車検を受けたいと思っても、その時点で自動車税などの税金の未納があれば、再車検を受けることはできません。
また、交通違反の違反金が未納の場合でも、再車検を受けられません。
再車検を受けるためには、先に未納の税金や違反金を納めておく必要があります。
ここでは、車検切れと税金などの未納について詳しくご紹介します。
目次
自動車税などの税金を未納のままでは再車検を受けられない
車の所有者には、自動車税などの税金を納付する義務があります。
自動車税を納付していなければ、車の所有者としての大前提となる義務を果たしていないことになるため、車検を受けることはできません。
自動車税の納税通知書は、毎年4月末~5月上旬頃に車の所有者へ届きます。
もし車検を受ける予定で、かつ自動車税が未納の場合には、納税通知書を金融機関などに持参し、速やかに納付しましょう。
納付書を紛失してしまった場合には、以下の所轄の窓口に連絡すれば再発行してもらえます。
- 普通自動車…都道府県税事務所
- 軽自動車…市区町村
車検を受ける際の「納税証明書」は不要
かつて車検を受ける際には、必要書類のひとつとして「納税証明書」が指定されていました。
しかし2023年4月現在では、この納税証明書を提出しなくても車検を受けられることとなっています。
このことから、「自動車税を納税していなくても車検を受けられるのでは?」と考えてしまうかもしれませんが、そのようなことはありません。
納税証明書の提出が不要となった理由は、単に納税証明が電子化されたために他ならないからです。
車検工場に車検を依頼する際には、必ず電子化された情報によって自動車税の納税状況を確認されます。確認の結果、自動車税の未納が判明した場合には、車検を断られることになります。
なお、軽自動車の車検については、紙ベースでの納税証明書の提出が義務付けられています。
車検を受ける際には、必ず納税証明書を提出しましょう。
車検切れの状態でも自動車税の課税対象
「そもそも車検切れで乗っていない車に自動車税は掛かるの?」という疑問を持つ方がいるかもしれませんが、自動車税は毎年4月1日時点での車の所有者(運輸支局に登録がある方)に課される税金です。
4月1日時点で車を所有している以上、その車が車検切れであるかどうかの事情は考慮されず、一律で自動車税が課されます。
もし車検切れで乗る予定のない車をお持ちであれば、早急に自動車税を止める手続きをしたほうが良いでしょう。
自動車税を止めるためには、運輸支局などで廃車手続きと税止めの手続きをする必要があります。
永久にその車を使用する予定がないのでしたら「永久抹消登録」の手続き、一時的にその車を使用する予定がないのでしたら「一時抹消登録」の手続きをすることで廃車となり、税止めの手続きを経て自動車税の納税義務がなくなります。
車検切れの場合は自動車重量税が掛からない
車で公道を走るためには、自動車税の他にも自動車重量税を納税しなければなりません。
自動車重量税とは、車の重さに対して課される国税です。一般的には車検を受ける際に、車検工場を経由して納税します。
車検を受ける際に納税する税金ですので、自動車税とは異なり、車検切れの車は自動車重量税を納税する必要がありません。
再車検を受ける際には自動車重量税を納税しなければなりませんが、再車検を受ける予定がないのでしたら、自動車重量税の納税は不要です。
なお、車で公道を走るためには、他にも自賠責保険への加入が義務付けられていますが、車検切れの車は公道を走れない以上、自賠責保険へ加入する必要もありません。
自動車重量税や自賠責保険の保険料を納付していない方でも、自動車税さえ納めていれば車検切れの車の再車検を受けられる、と理解しておきましょう。
課税保留制度で自動車税納税通知書が届かない地域もある
車検切れの状態でも廃車手続きをしていない場合には、原則として自動車税の納税通知書が車の所有者へ届きます。
ところが都道府県の中には、そのような車の所有者に対し、自動車税の納税通知書を送らない「課税保留制度」を採用しているところもあります。
課税保留制度とは、都道府県が「車検切れの車は使用されていない車」と判断し、自動車税の納税を保留する制度です。
あくまでも納税の「保留」であり「免除」ではない点に注意しなければなりません。
「保留」である以上、たとえ納税通知書が届かなくなっても、その間の納税義務は残り続けます。
お住まいの地道府県の方針で課税保留制度が採用されていたとしても、車検切れの車の再車検を受ける際には、さかのぼって未納分の自動車税の納税が必要です。
なお、何年分の納税が必要となるかは都道府県により異なります。
使う予定のない車の自動車税を止めるためには廃車手続きが必要
すでに簡単に触れた通り、車検切れで使う予定のない車は、早めに廃車手続きをして自動車税を止めるよう手続きをしたほうが良いでしょう。
廃車手続きには、永久抹消登録と一時抹消登録の2種類があります。
永久抹消登録
永久にその車を使用する予定がない場合には、車を解体した上で永久抹消登録手続きをしましょう。永久に乗る予定のない車とは、例えば全損や水没などによって動かなくなった車などです。
動かなくなった車も修理で復活する可能性はありますが、修理代が高額となる上、必ずしも車の状態が良いとは言えないので、永久抹消登録をしたほうが無難なこともあります。
もとより全損や水没などではなくても、著しく年式が古かったり走行距離が多すぎたりしたことで不動となった車も、永久抹消登録を検討したほうが良いでしょう。
一時抹消登録
一時的にその車を使用する予定がなくなる場合には、運輸支局で一時抹消登録手続きをしましょう。
一時的に車を使用する予定がなくなる例としては、海外赴任で当面日本に戻る予定がない場合などです。病気やケガなどの療養が長引きそうな時にも、一時抹消登録を考えたほうが良いかもしれません。
一時抹消登録を行った車については、将来的に運輸支局で再登録手続きをするまで、自動車税の納税義務が止まります。
また、再登録をしてふたたび公道を走る場合には、新規検査をして車検を有効な状態にしておく必要があります。
交通違反の罰金を未納している場合も再車検を受けられない
自動車税の未納がある方だけではなく、交通違反の罰金を未納している方も、再車検を受けられません。
車の所有者に身近な例として、平成16年に交付された改正道路交通法における「放置車両に係る使用者責任の拡充」について見てみましょう。
駐車違反の罰金が未納の場合には車検に合格しない制度
平成16年の改正道路交通法により、違法駐車対策関連の内容が拡充されました。具体的には、「放置車両に係る使用者責任の拡充」「放置車両取締り関係事務の民間委託」などです。
改正されたこれらの規制のうち「放置車両に係る使用者責任の拡充」では、駐車違反の罰金を滞納して公安委員会から督促を受けた方について、罰金を納付したことを証明する書類を提出しなければ車検に合格しない、というルールが設定されました。これを車検拒否制度と言います。
車検に合格させてもらえない以上、たとえ自動車税を納税していたり自動車の状態が良好であったりしても、当然その車は使用できません。
違法駐車の罰金を納めたことを証明する書類
公安委員会からの督促に応じて違法駐車の罰金を納めた場合には、次のいずれかの書類を車検工場に提出して車検を受けることになります。
領収証書
指定金融機関などの窓口で罰金を納めた際に交付される書面です。
納付・徴収済確認書
領収証書を紛失して警察署に申請した際、または滞納により罰金を強制徴収された際に交付される書面です。
なお、公安委員会から届く罰金の納付書には納付期限が記載されています。納付期限を過ぎた場合、再発行を依頼しなければなりません。
【参考】車検切れで税金未納の車を廃車にする方法
税金未納で車検切れの車を再車検に出すことはできませんが、同じ状態の車を廃車にはできるのでしょうか?
結論から言いますと、自動車税の未納期間が1年以内(1回以内)でしたら廃車可能です。
一方で、自動車税の未納期間が2年以上(2回以上)でしたら、そのままの状態では廃車にできません。
自動車税の未納期間が1年以内(1回以内)の場合
自動車税の未納期間が1年以内(1回以内)の場合には、そのままの状態でも運輸支局で廃車手続きができます。
廃車手続きが完了して1~2か月後、未納分の納付書が車の所有者へ送付されます。
そのため、この納付書を用いて指定金融機関などで自動車税を納税すれば、何ら問題がありません。
逆にこの納付書を放置して納税を怠ると、最悪の場合、財産の差し押さえまで発展することがありますので、納付書が届いたら早急に納税しましょう。
ちなみに自動車税は毎年4月1日時点での車の所有者に課されるため、3月中までに廃車手続きを終えていれば、次の自動車税を納める必要はありません。
ただし3月は、同じ理由で運輸支局が混み合うため、廃車を決めたのでしたら早めに手続きをするのが望ましいでしょう。
自動車税の未納期間が2年以上(2回以上)の場合
自動車税の未納期間が2年以上(2回以上)の場合、税務署から車を差し押さえられている可能性があります。
差し押さえられた車の所有権は税務署に移るため、自分では廃車手続きができません。車が差し押さえられているかどうかは、運輸支局で確認可能です。
なお、所有権を自分に取り戻すためには、未納分の自動車税の納付が必要です。
しかし、何年も未納が続いている場合には税額が高額となり、一括で納められないことがあるかもしれません。
自動車税の未納分の納税方法は、原則として一括払いとなりますが、もし一括払いが困難な場合には、県税事務所に相談してみましょう。事情が認められれば、分割払いにしてもらうことが可能です。
車検切れの車を廃車にする際の注意点
車検切れの車を廃車にする際の注意点を2点ほど確認しておきましょう。
自動車ローンの返済中は原則として廃車にできない
自動車ローンの返済中(完済していない状態)は、基本的に廃車にはできません。
なぜなら、一般的に自動車ローンの返済中は、車の所有権が自分ではなくローン会社にあるからです。
ローンの返済が残っている車を廃車にする場合には、事前にローンを完済して車の名義を自分にしておく必要があります。
もしローンの完済前に廃車としたい事情がある場合には、ローン会社と直接交渉してみましょう。
なお、ローンを完済して名義を自分に変える場合には、次のような書類が必要となります。
- 車検証
- 印鑑証明書
- ローンを完済したことが分かる書類
ローンを完済すれば自動的に名義が自分に変わる、というわけではありません。
所定の手続きによって名義変更した上で、廃車手続きをしましょう。
公道を自走して解体業者へ車を運ぶことはできない
車検切れの車で公道を走ることはできません。
そのため、廃車に伴って車を解体業者に移送する際、その車を自分で運転して持ち込むことができない点に注意が必要です。
解体業者が車を積載車で運んでくれれば問題ありませんが、そのようなサービスがない場合には、自分で積載車を手配するなどの対応が必要となるでしょう。
あるいは市区町村の役場に赴き、仮ナンバーを取得して自分で車を運ぶことも可能です。
なお、仮ナンバーを申請する際には、自賠責保険の保険証(有効期間が1か月以上のもの)の原本を提出する必要があります。
車検切れの車は自賠責保険も切れている例が多いため、事前に確認しておくようにしましょう。
自賠責保険の有効期限を過ぎている場合には、仮ナンバー以外の方法を検討するか、または保険代理店などで自賠責保険に加入してから仮ナンバーの申請をする必要があります。
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