国土交通省と警察の協力で日本中に拡大してきたNシステム。
「車検切れでもばれないだろう」と高をくくって公道を走行していると、このNシステムにひっかかり車検切れがばれるかもしれません。
ここでは、Nシステムの概要やNシステムで車検切れがばれる仕組みやNシステム以外での車検切れのばれ方、車検切れの車を再車検に出す方法などについて解説しています。
目次
Nシステムの概要と車検切れがばれる仕組み
Nシステムとは
Nシステムとは、公道を走行する車のナンバーを自動的に読み取り、データベースに登録されている手配車両と照合するシステムを言います。
ナンバー読み取りを中心に行うことからnumberの頭文字「N」が冠されています。
実際にはナンバー以外にも車の通過時刻、外装、運転手の顔写真なども同時にキャッチできます。
1987年ごろから設置が始まり、すでに全国に数千台のNシステムが稼働しています。
近年では、固定式のNシステムに加えて任意の場所に移設ができる可変式Nシステムも登場しました。
これによって、国土交通省と警察の連携の元、違反車両の特定や犯罪捜査などが強化されています。
Nシステムの主な目的
Nシステムの主な目的は、車が関与している犯罪捜査支援です。
そのためNシステムは、「車両捜査支援システム」「初動捜査支援システム」「車両ナンバー捜査支援システム」「緊急配備支援システム」などとも呼ばれています。
特定の犯罪捜査支援に加え、Nシステムの特徴を活かす形で速度超過車両、無車検・無保険車両などの摘発も行われています。
Nシステムとオービスの違いと共通点
Nシステムと混同されがちなシステムに「オービス」があります。
オービスとは、速度超過違反の車を自動検知し撮影するシステムのことです。
主に幹線道路や高速道路など、速度超過が発生しそうな場所や速度超過が事故につながりそうな場所へ設置されています。
オービスで速度超過が確認された車の所有者には、後日、警察から出頭命令の通知が届きます。
Nシステムとオービスの大きな違いは、設置の主要目的。
Nシステムは犯罪捜査を主要な目的としていることに対し、オービスは速度超過違反の取り締まりを主な目的としています。
ただしNシステムは、結果として速度超過違反の車も検知・摘発できることから、オービスとの役割が一部共通している側面もあります。
外観がNシステムと似ているオービスがある
オービスにはたくさんの種類がありますが、それらの中には、Nシステムと外観が似た種類もあります。
例えば「LHシステム」。
比較的新しいタイプのオービスですが、その外観はNシステムとやや似ています。
更に新しいタイプのオービス「LSレーザー支柱型」も外観はNシステムに似ているため、素人が瞬時に両者を区別することは難しいかもしれません。
Nシステムとオービスとの見分け方には2つあります。
1つ目が、発光装置が付いているかどうかです。
通過車両を撮影する際、オービスからはフラッシュが出るため一瞬明るくなりますが、Nシステムでは赤外線カメラを採用しているためフラッシュが出ません。
2つ目が、予告看板があるかどうかです。
オービスが設置されている場所の数キロ前には、必ず設置を知らせる「予告看板」がありますが、Nシステムには設置を知らせる予告がありません。
もとより、制限速度を守って安全運転を心がけていれば、予告の有無など問題になりません。
Nシステム以外における車検切れのばれ方
Nシステムの他にも、車検切れがばれるきっかけは複数あります。
車検切れがばれてしまう主なルートを見てみましょう。
車検シール(検査標章)を見た人から通報される
ご存じの通り、車のフロントガラスには車検の有効期間が明記されている車検シールが貼られています。
正式名称を「検査標章」と言います。
この車検シールを見れば、素人でも車検切れの車を簡単に発見できます。
車検切れの車でコンビニなどの駐車場に車を停めている際、第三者からの通報で警察に摘発される可能性があるでしょう。
ガソリンスタンドや整備工場から通報される
車検切れや自賠責保険切れの車の摘発について、国土交通省はガソリンスタンドや整備工場、カー用品店などと連携を図っています。
これらの店舗スタッフは日頃から車検ステッカーをチェックするクセが付いているため、車検切れの車が持ち込むと、すぐにばれてしまいます。
国と連携している以上、車検切れの車を見て見ぬふりをした場合、店舗スタッフは犯人隠匿に問われる可能性もあるため、速やかに警察へ通報せざるを得ません。
交通違反などをきっかけにばれる
交通違反を起こした際、警察官は違反内容の確認とともに、車検の状況についても確認します。
もしその場で車検切れであることが判明すれば、違反とあわせて車検切れでも摘発されることになります。
交通事故を起こした際にも、警察官は車検状況を確認します。
なお、車検切れの状態で自損事故を起こし、こっそりと板金会社や整備工場などに修理を依頼したとしても、業者から警察へ通報されることになります。
駐車監視員から通報される
違法駐車を取り締まる駐車監視員(通称:緑のおじさん)には、車検切れの車を摘発する権限がありません。
ただし、一般市民として警察に通報することは、まったく問題なしです。
車検切れの違法駐車車両を見つけたにもかかわらず、見て見ぬふりをするわけにもいかないでしょう。
通報を受けた警察官が確認すれば、車検切れがばれることになります。
車検切れの車を再車検に出す方法
車検切れの車であれ車検が切れていない車であれ、車検に出す手続きや流れは同じです。
問題は、車検切れの車の移送方法。車検切れ状態では公道を走行できないため、車検工場へ車を移送する手段を考えなければなりません。
車検切れの車を車検工場まで運ぶ主な方法には、以下の3つがあります。
仮ナンバーを取得して自分で車を移動する
市区町村役場の窓口で仮ナンバーを取得すれば、車検切れの車でも一時的に行動を走行できます。
仮ナンバーの有効期限内に車を車検工場まで移動させれば、問題なく車検を受けることが可能です。
ただし仮ナンバーで走行できる公道は、車の保管場所から車検工場までの最短ルートに限ります。かつ、そのルートを外れて走行することは一切できません。
渋滞を理由に別ルートから迂回することも、脇道に入ってコンビニに立ち寄ることもできません。
積載車に車を積んで移動する
積載車に車を積めば、車検工場まで合法的に車を移送できます。
積載車を運転できる免許を保有していれば、レンタカーを借りて自分で車を運ぶこともできます。
該当の免許を持っていなければ業者に依頼して積載車を手配するしかありません。
なお、積載車ではなくレッカー車で運ぶ場合、車検切れの車の後輪や前輪が公道に接する形となるため、道路運送車両法違反に問われることとなります。
レッカー車ではなく積載車で車を運びましょう。
車検工場の車引き取りサービスを利用する
自動車整備工場の中には、車検切れの車を工場まで移送してくれる「引取サービス」を用意しているところもあります。
引取料を無料としている工場もありますので、少しでもコストを抑えて車を車検に出したい方は、業者をリサーチしてみると良いでしょう。
車検切れの車で公道を走行したことがばれた時の罰則
車検切れの車で公道を走行したことがばれた場合には、道路運送車両法違反として行政処分と刑事処分の両方を科される形となります。
罰則の具体的な内容は次の通りです。
- 違反点数6点(前歴がない場合)…行政処分
- 免停日数30日間…行政処分
- 6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金…刑事処分
また、たとえ車検が切れていなかったとしても自賠責保険が切れていた場合には、次のような罰則が科されることになります。
- 違反点数6点(前歴がない場合)…行政処分
- 免停日数30日間…行政処分
- 1年以下の懲役、または50万円以下の罰金…刑事処分
なお、車検切れの車は、同時に自賠責保険も切れている例が少なくありません。
もし車検も自賠責保険も同時に切れていた場合には、次のような罰則が科されます。
- 違反点数6点(前歴がない場合)…行政処分
- 免許停止90日…行政処分
- 1年6か月以下の懲役または80万円以下の罰金…刑事処分
車検切れの車で交通事故を起こした時の保険の取り扱い
車検切れの車で事故を起こした場合について、自賠責保険と任意保険(自動車保険)の取り扱いを見ておきましょう。
自賠責保険の取り扱い
車検切れの車であっても、事故を起こした時点で自賠責保険が有効であれば、原則として補償が行われます。
逆に事故を起こした時点で自賠責保険が切れていれば、当然ながら補償は行われません。
一般的に自賠責保険は、車検の度に「次の車検まで」という期限で申し込む形となります(例外はあります)。
そのため、車検切れの車は同時に自賠責保険切れも起こしている可能性があります。
なお、「自賠責保険が切れていても任意保険に加入しているから問題ない」と考える方もいるようですが、それは大きな間違いです。
任意保険は自賠責保険の補償でカバーしきれない部分のみを補償する保険であることを再認識しなければなりません。
仮に自賠責保険が切れた車で事故を起こすと、任意保険が有効期間中だったとしても、本来自賠責保険から補償されるはずの金額(最大4000万円)は自己負担でまかなうことになります。
任意保険(自動車保険)の取り扱い
自賠責保険と同様、事故を起こした時点で任意保険が有効期間内であれば、車検切れか否かにかかわらず、原則として補償が行われます。
ただし上述の通り、その補償額は「自賠責保険で補償できなかった部分」となる点にご注意ください。
また、任意保険の契約条件において、無車検車への事故の補償はしない旨が設定されている場合には、当然補償は行われません。
更に、同様の条件が設定されていなかったとしても、保険会社が車検切れの状態を「契約者の重大な過失」と判断すれば、保険会社は補償を拒否する可能性もあります。
車検切れを「契約者の重大な過失」とするかどうかは、事故の状況も踏まえた保険会社の判断によります。
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